αハンター:6月後半の市況分析

6月後半は暗号資産市場には不透明ながら明るい兆しが見えていました。極端なFUDによって5月から下落傾向でしたが、規制整備や機関投資家の参入など、ポジティブなニュースが続いたことで一時的に緩和されました。しかしながら、ビットコインは引き続きレンジ内で揉み合いとなっています。


1. 市況に影響を与える「インフルエンサー」たち

6月のビットコインの価格には勢いがあり、40,000ドル付近にあったレジスタンスを上抜け、高値圏で推移していました。そのため、極端なFUDによって続いていた下落傾向は一時的に収まりました。
この上昇トレンドは、今や “金融市場で最も影響力のある人物”との呼び声も高いイーロン・マスク氏の発言が発端でした。彼はツイッターで、ビットコインのマイニングの50%以上がクリーンエネルギーによってまかなわれていることから、テスラが再びビットコインの取引を再開する可能性があると述べました。
また、ウォール街の伝説の投資家ポール・チューダー・ジョーンズ氏も、再びビットコインを推進するようなコメントを残しました。彼がビットコインに関して公に語るのはまさに2020年5月以来です。このように早めに長期のポジションを作ったのちに、民意を刺激し、市場への参入を促進するという方法は、大成功を収めたマクロトレーダーの、いわば典型的な「勝ちへの投資ルール」です。

このような強気の市況により、多くのトレーダーの関心がビットコインに向けられ、6月は取引量がわずかに回復し、BTCが優位になりました。


2. ラテンアメリカの追い風

エルサルバドルがビットコインを法定通貨として採用しても、ファンダメンタルズに変化をもたらすほどの意義はないかもしれません。現在のビットコイン化の波は、2000年代初頭のドル化とは異なります。法定通貨の安定性への懸念から生じたというよりも、むしろPR活動的な側面が色濃く、具体的な経済効果はまだ表面化していません。エルサルバドルのビットコイン化によるプラス面は、似たような立場にある経済圏がその波及効果を受け、暗号資産を含む複数通貨制度を導入したことにあるといえます。この発表以降、タンザニア、ナイジェリア、パラグアイ、パナマなど、様々な国での関心が高まり、各国が暗号資産へ導入準備を進めています。


3. FRB タカ派へシフト

6月はFRB(連邦準備理事会)から実際のテーパリング (量的緩和縮小) のアクションはなかった代わりに、タカ派的な政策金利見通し(ドット・チャート)と過剰準備金に対する金利(IOER)の引き上げが起こり、市場に影響を与えました。これらは米ドルを押し上げる要因となり、ドルインデックスは数日で5月の下落幅をすべて回復しました。暗号資産市場全体の時価総額が、すぐにATHを破ることはないと予想されますが、次に注目が集まるのは、8月に行われるジャクソンホール会議でしょう。それまではテーパリングへの期待に一喜一憂することとなりそうです。


4. マイクロストラテジー社、ビットコインに「オールイン」

10億ドル相当の株式を公開市場で売却するという発表は、新たに5億ドルの債券発行が完了したわずか数時間後に行われました。これは、同社 CEOセイラー氏の「オールイン」の精神を色濃く表しています。これによりマイクロストラテジー社は、現在保有している20億ドルのビットコインを売却することなく、部分的に「キャッシュアウト」することができます。今回の発表は、これまでの購入発表と大きく異なり、ビットコインの値動きにほとんど影を落としていません。こうしたことから、今回は市場がセイラー氏の動向を先読みしたといえます。


5. GBTCわずかに値下げ

暗号資産投資信託グレースケール・ビットコイン・トラスト(GBTC)では、6月19日から22日にかけて、約14億円相当の私募債のロック解除が行われました。それに対応するBTCショートヘッジのアンワインドの発生もあり、予想されていた買い圧力はあまり見受けられませんでした。


6. DeFiの勢いは衰えたのか?

これもまた、どこかで聞いたことのあるトピックでしょう。ガス代が低い傾向が続いていますが、これはDeFiトレンドの長期的低迷を示唆しているとの見方がある一方、投機的活動から金利収入のあるプロトコルなど、より守備的な戦略への転換する過渡期と捉える声もあります。非ステーブルコイン(stablecoin)に特化したDEXのTVL(合計ロック資産額)は停滞したままではあるものの、レンディングのTVLは上昇傾向が続いています。


7. 先物は戻るのか

6月半ばから後半にかけては現物市場が40,000ドル方向へ上昇しましたが、先物市場は依然としてPERPと先物に大きくショートしていました(※OI/ファンディングチャート参照)。3Mの金利支払い頻度(年4回)では、若干のショートカバーがあり、年率10%程度の上昇が見られたものの、既存のショートポジションを一掃できる規模ではありません。結局、まだ買い戻しを後押しするレベルに達していないことを示唆しており、今後、強気相場へと転換するためには予期せぬ「きっかけ」が必要だと市場参加者が認識する月となりました。


8. オプション取引

オプション市場では先週、約20億ドルの新規契約が成立し、活気を見せていました。しかしながら、4月や5月に見られたような数量にはまだ遠く及びませんでした。デルタの変化を示すガンマの値に合わせて、BTC価格は40,000ドルで頭打ちとなりました。6月後半に注目されたのは、IV(インプライドボラティリティ)の傾きが左右対称となり、文字通り「微笑んで」くれたことでした。5月の低いIVとともに、RV(リアライズドボラティリティ)も低水準を記録したことによって、今後のリスク/リワードは、明らかにオプション価格の変動を示すベガの長期的な動きに傾いています。