CBDCが暗号通貨への市場の期待を高めるも、その長期における影響は?

先頃、中国中央銀行デジタル通貨CBDC(デジタル通貨電子決済DCEP、CNYテザーのオフィシャル版)のいわゆるeウォレットについて、中国農業銀行からのリーク写真が公開された。この写真からは、ウォレットがデジタル資産の両替、ウォレット管理、取引予約、資金の支払・受取などに対応していることが分かる。中国人民銀行に近い消息筋は、このリーク写真が本物であり、今のところホワイトリストに記載された人々だけが利用できると語った。現在中国の深セン、雄安、成都、蘇州の4都市で試験が行われている。中国人民銀行はこの噂に対し、公式な見解を示していない。

昨年8月にフォーブスは、中国が数ヶ月の試験を経てまもなくデジタル人民元、すなわちDCEP(デジタル通貨電子決済)をローンチし、中国工商銀行、中国建設銀行、中国銀行、中国農業銀行、銀聯、テンセント、アントフィナンシャルのサービスを含む、7つの金融機関で流通させると報じた。中国人民銀行はDCEPによる潜在的な銀行離れの影響を懸念していることから、これは極めてあり得ることであり、DCEPの普及を銀行に依存する可能性がある。噂では、DCEPは最初に蘇州市民の公共交通機関利用の際に使用されるとも言われている。

これは何を意味するのか?マトリックスから新たなザイオンの世界への復讐なのか?ビットコインにとって、それほど悪いことだろうか?中国の人々は、欧米の取引先をよりも政府を信用する傾向にある。彼らの多くは、中国のDCEPローンチにより規制されたトークンが規制のないトークンに取って代わることで、ビットコインが苦境に追いやられると考えている。しかしながら現実には、ビットコインはむしろ将来のインフレに備えるための価値の蓄えの新たな形式であるデジタルゴールドに近く、一方DCEPはUSDC等の規制されたステーブルコインに近い。それは非規制のUSDTでさえ打ち負かすことはない。

政府は中国DCEPのネットワーク管理者となり、DCEPを用いたすべてのトランザクションに目を光らせるが、ビットコインの投資家は基本的に、政府の管理を逃れインフレによる価値の希薄化から財産を守るための隠れ家を求めている。彼らは追跡されたり課税されたりすることを望まず、DCEPの使用に強い難色を示している。中国政府がDCEPと暗号資産の交換を許可するか否かはまだ分からないが、おそらくそれはないであろう。だが、もし許可された場合、どうなるのか?DCEPは、LibraやUSDC等の非規制ステーブルコインの競合相手となる。実のところ、DCEPはLibraの巨大な潜在的影響力に対抗するために設計され、人民元の国際化のさらなる強化という中国の野心を表している。ご存じの通り、現行の国際送金システムはSWIFT(国際銀行間通信協会)のネットワークに基づいており、現状では中国に対しあまり友好的ではない。中国にとって、SWIFTを回避できる新たな国際決済システムは差し迫ったニーズであり、それがDCEPのアイデアにつながった。Libraの発表は、アメリカの国際送金への管理強化に関する中国の懸念をより深めた。さらに中国は、Libraが最終的にドルに連動するため、中国大陸での事実上のオフショアドル市場となることを恐れている。これはLibraの発表後、なぜ中国が突然DECPの試験を加速させたかを説明している。

従って、DCEPは暗号通貨をターゲットとしておらず、それらと競合しようともしていない。さらに、ブロックチェーンについて学ぶことが暗号通貨の世界に入るための深刻な障害であったため、もし中国がDCEPを徐々に受け入れ、次第にブロックチェーンのウォレットや送金に慣れてきた場合、ほとんどの中国の人々に暗号資産を導入するための幅広い基盤が具えられる。人々は短期での影響を過大評価し、長期での影響を過小評価しがちであるが、これは長期にわたり実質的な後押しとなり、短期では市場の期待を高めるであろう。