なぜ投資家は400%のプレミアムをETHに支払うのか

米大手仮想通貨ファンドのグレースケールが保有する仮想通貨ETHに連動するイーサリアム投資信託(ETHE)で、423%のプレミアム価格が発生したことを、耳にした方もいるかもしれない。報道によれば、ETHEは2019年末以来756,540 ETHを買い付け、それは2020年に採掘されたETHのおよそ48.4%を占める。このことは、メインストリームの投資家からのETHに対する強い興味を示しているように見える。

なぜ投資家たちは、400%を超えるプレミアムを支払うことを厭わないのだろうか?理性的な投資なら、ETHEのシェアをプライマリーマーケットで購入しただろう。つまり、シェアバスケット(1バスケットに0.094 ETHが100シェア含まれる)と引き換えに、等価で購入するのだ。しかしながら商品設計によって、プライマリーマーケットでの購入者はETHEシェアを少なくとも1年保有しなければならない。ETHEシェアの発行は、規則144における制限付証券の販売のようなものである。コンプラアンスの目的のため、プライマリーマーケットの購入者は、売却禁止期間が明けてからでないと、保有するシェアを転売することはできない。

アービトレージャーは、プライマリーマーケットで購入し、セカンダリーマーケットで空売りをしようとするかもしれない。しかしながら、市場で空売り可能なETHEシェアは、あるとしても極めて少ない。ETHEは2017年に作られ、2019年6月に上場した。大部分のETHEシェアは1年未満に発行され、このためまだ制限により売却が禁じられている。制限期間が満期になった時、プレミアムは下落する。これは、下の表に示す通り、2019年下期に発生している。しかし、制限されたシェアがすべてセカンダリーマーケットで投げ売りされると、プレミアムは再び拡大する。セカンダリーマーケットでのETHEの取引には、保有期間の制限が課せられないため、より多くの投機家(個人またはヘッジファンド)、そしておそらく制限的な権限を持つ機関をも、暗号資産の直接取引へと引き付ける。一旦彼らの取引や投資のニーズが高まると、プレミアムはさらに拡大し、より多くのアービトレージャーのプライマリーマーケットでの購入を誘引する。ETHEの運用資産残高は、プレミアムの拡大とともに成長する。

もう1つの興味深い事実は、規制上の誓約のため、ETHEは買戻しのために公開されていないことである。これは、ETHEがETHをマーケットから買い入れることができる(バスケットの設定)だけで、買戻しプログラムが合法的に承認されるまで売却できないことを意味する。ETHEの保有者はETHではなく、ETHEシェアのみ売却できるのだ。

グレースケール投信は本質的に、暗号市場のネットバイヤーに過ぎない。グレースケールの買い付けは、暗号通貨のステーキングに非常に似ている。グレースケールは現在、24億ドルと2.44億ドル(NAV)を、それぞれBTC投信とETH投信で管理している。

グレースケールのBTC信託であるGBTCにも、同様の保有期間と転売の制限がある。だが、より成熟してからプレミアムは18%まで著しく下落し、適格投資家の保有期間制限は最近6ヶ月に短縮された。

ETHの需要と供給を評価する際、グレースケールがそれを購入し保有するだけしかできないことを忘れてはならない。今年に入って新たに採掘されたETHの50%近くを消費し、2020年はこれまでのところETHの主導的な立場を正当化している。