機関投資家の関心の高まりが市場の形勢を一変させる可能性

重要ポイント 

  • BTCの総供給量の約50%を保有していることから、機関投資家による導入がますます増えていることがわかる
  • 仮想通貨のエコシステムの早い段階での積極的な関与にも関わらず、東アジア(中国、香港、韓国、日本、台湾)の投資家はBTCの保有構造で過小評価されており、関連性の低下を示している
  • 3月の流動性危機の間に早々と手を引いたため、東アジアの投資家は現在の強気相場にあまり関与していないという噂がある

ビットコインの不完全な保有権分析によると、大方の予想とは裏腹に、東アジアの投資家によるビットコインの保有は一般的な強気のセンチメントとは一致せず、また世界市場における地域の状況をも反映していない。公開されている情報源(企業の開示、目論見書情報、ニュース報道、ツイッターでの発表、オンチェーンデータを含むが、これらに限定されない)を活用し、採掘されていないものや「行方不明」のものを含め、BTCの総供給量の約50%の保有を突き止めることができる。ここでは、ファンド、上場企業、非上場企業、取引所、カストディアン、富裕層、政府、仮想通貨プロジェクト等、いくつかのカテゴリーにおける保有についてみてみよう。

主体BTC保有量総供給量(%)
BTCファンド
Grayscale 515,165 2.45%
Coinshare XBT 70,407 0.34%
3iQ (QBTC) 8,295 0.04%
ETHグループ 5,215 0.02%
21 shares AG 2,989 0.01%
小計602,0712.87%

Grayscaleは、主にGrayscaleビットコイン投資信託(GBTC)によりビットコインを保有しているが、Digital Large Cap FundでもBTCのごく一部を保有している。償還プログラムがないことを考えると、以前 Bybitインサイトの記事  でご紹介したように、Grayscaleは管理費を支払うために1年につき保有するBTCのわずか2%しか売却することができない。

主体BTC保有量総供給量(%)
上場企業
MicroStrategy38,2500.18%
Galaxy Digital19,0060.09%
Square4,7090.02%
Hut 8 Mining2,9540.01%
Voyager Digital1,2390.01%
Riot Blockchain1,0530.01%
Bit Digital9500.00%
小計68,1610.32%

私たちは、Galaxy Digitalの帳簿に記載されたBTCだけでなく、BTCファンドでのビットコインの保有もカウントしている。

主体BTC保有量総供給量(%)
非上場企業
Bitmain22,0820.11%
Stonebridge10,8890.05%
小計32,9710.16%

最新の公開されている数字は2018年3月のものであるため、Bitmainの保有量を確定するのはやや難しい。2018年と2019年の困難な時期に、保有するビットコインの一部を非公開で売却した可能性がある。だが、今回の私たちの調査は、入手可能な最新の数値に基づき結果を導き出している。

主体BTC保有量総供給量(%)
取引所
Coinbase931,9564.44%
OKEx293,4741.40%
Binance292,1081.39%
Huobi289,3411.38%
Mt. Gox141,6860.67%
Kraken117,0200.56%
Bitstamp111,2070.53%
Bitfinex72,8530.35%
Bitflyer67,3610.32%
Bittrex61,5990.29%
Poloniex46,0420.22%
Coincheck35,3910.17%
Gate.io21,3180.10%
小計2,481,35611.82%

また、米国企業や大規模な個人事業主は、仮想通貨カストディアン(資産保管事業者)のXapoでBTCを保有しているかもしれず、二重にカウントしている可能性もある。だが私たちは、新規参入者はおそらく、Coinbase取引所とは別会社のCoinbaseカストディのような米国のカストディアンを好むため、その可能性は小さいと信じている。

主体BTC保有量総供給量(%)
カストディアン
Xapo cold wallet286,4341.36%
小計286,4341.36%

MicroStrategyのCEOであるMichael Saylor氏は、同社が財務管理戦略として4億2千5百万ドル相当のBTCを購入する以前に、自身が17,732 BTCを保有していたことを認めた。この部分について、私たちはリストからBitcoin.comの前CEOであるRoger Ver氏を除外している。彼はかつて10万BTC以上を保有していたが、そのほとんどをBCH等に交換したことを十分に裏付ける記録がある。このため、残りの未公開金額はごくわずかであると想定される。

主体BTC保有量総供給量(%)
富裕層
The Winklevoss兄弟100,0000.48%
Tim Draper30,0000.14%
Michael Saylor17,7320.08%
小計147,7320.70%

政府もビットコインをかなりの割合で保有しており、そのほとんどは犯罪活動に使われたビットコインを没収したものである。例えば、ブルガリア政府は少なくとも213,000 BTCを差し押さえており、これはブルガリアの法執行機関が国際的なハッカー集団を逮捕した際に没収したものだ。現在の価格で売却した場合、政府の対外債務の大部分を返却するのに十分な金額となる。同様に中国のいくつかの法執行機関は、悪名高いWotoken ポンジスキーム から4億2千5百万元相当の不法所得を押収しており、これには約31,000 BTCが含まれる。

最近米国政府は、2013年に閉鎖された闇サイト「Silk Road」における違法な薬物や商品の販売に関連して、 10億ドル相当のビットコインやその他の仮想通貨を没収 した。これは米国司法省にとって史上最大規模の仮想通貨の押収であり、2015年のSilk Road創設者の処刑に続き、お金の行方についてもとうとう決着がついた。

主体BTC保有量総供給量(%)
政府
ブルガリア政府213,5191.02%
オランダ政府2,5320.01%
アメリカ政府693700.33%
Wotoken247,4291.18%
小計532,8502.54%
主体BTC保有量総供給量(%)
仮想通貨プロジェクト
Block.One140,000 0.67%
Tezos Foundation24,551 0.12%
小計164,551 0.78%
主体BTC保有量総供給量(%)
その他
未採掘 2,468,844 11.76%
行方不明 3,700,000 17.62%
小計6,168,844 29.38%
合計 10,484,970 49.93%

仮想通貨プロジェクトと行方不明のコインを計算にいれたBTC保有分析では、その制約にも関わらず、総供給量の49.3%を占めた。これは完璧にはほど遠いが、少なくとも確かなベンチマークとなる。

さらに、Chainalysisによって実施された地理的研究を活用すると、東アジア市場では、過去1年間に行われた取引高が減少していることは明らかだ。

上のグラフからは、3月の流動性危機の後、東アジアがかなり大きな打撃を受けたことがわかる。それでも、この地域での活発な採掘活動は、世界をリードする貢献を見せている。中国だけを見ても、ビットコインの全ハッシュレートの65%を支配している。その仮想通貨のマイニング産業における主導的役割は、世界の仮想通貨市場に大幅な流動性の向上をもたらす。

しかしながら、仮想通貨マイニング産業が成熟するにつれて、ビットコインや仮想通貨を一元化された通貨の代替とする動きを抑えようと試みる中国政府は、より厳しい規制を課している。国が支援するデジタル人民元(DCEP)のローンチの際、政府系メディアのスポークスマンはDCEPプロジェクトと仮想通貨の違いを強調した。さらに、中国政府は最近多くのビットコインの店頭(OTC)取引ルートを閉鎖し、マイナーの現金化にハードルを設けている。

一方2019年12月以降、米国の占める割合は2019年12月の87%から2020年5月には92%まで上昇し、その一部は機関投資家からの少なくとも100万ドル相当の資産流入により促されたものである。米国は実際に、ますます多くの機関投資家を受け入れており、彼らはプロのトレーダーよりも多くの仮想通貨の送金を行っている。これらの機関投資家の好みはビットコインに偏り、それは彼らが最終的に市場をより強力に支配することを意味するかもしれない。

Chainalysisのリサーチによる発見と結び付け、私たちは以下の結論を得た。

  1. 中央集権型取引所は、BTCの価格変動の大部分に影響を及ぼす。ある年では、取引所がBTC総保有量の約12%と、BTC総トランザクション量の41%を占めた。
  2. 分析結果によると、より多くのビットコインが中国以外の取引所、ファンド、企業、富裕層に流れていることから、中国の投資家はBTC市場との関連性が低い。
  3. 機関投資家やグレイスケール、QBTC、Square、MicroStrategyのようなテック界の有名企業(とそのCEO)が、今年は合計28万BTCを購入し、私たちはこれが北米へのBTCの正味流入総額のほんの一部であると信じている。さらに現在の強気相場は、突然の価格修正にも関わらず、PayPalとその競合相手Squareからの需要増加により勢いを増している。オンライン決済大手を合わせると、約4億人のアクティブユーザーの基盤を誇り、新たなBTC供給の110%以上を吸収した。
  4. Chainalysisの統計は、興味深い結果を示している。北米へのビットコインの正味の流入は、3月中旬から大幅に増加しており、他の地域から北米へ少なくとも正味20万ビットコインが移動している。

より多くのBTCがアジアから北米に流れており、仮想通貨の世界で米国の投資家がより強力な基盤を築いているという推測は間違いではない。2020年後半を通して、長期にわたるゼロ金利環境を背景に、資産の安全な避難先を求める機関投資家の流入がみられた。

その一方で、中国の多くの投資家が3月の流動性危機の間に損切りし、それ以降市場から撤退したという噂もある。現在の強気を見逃していることは、中国での投資活動の欠如を裏付ける可能性がある。