暗号通貨は資産クラスではない?

重要ポイント

  • 投資家向けのオンライン会議でゴールドマンサックスの投資戦略チームが、ビットコインは実行可能な投資手段ではないと主張した。
  • プレゼンテーションは主題に関する基礎知識が欠如しており、論理的に一貫性がない。

ゴールドマンサックスの消費者・投資家管理部門・投資戦略グループは、5月27日に「米国経済の見通しと、インフレ、ゴールド、ビットコインに関する現行政策の意義」と題したオンライン会議を行った。ゴールドマンサックスはビットコインにおける「戦略的または戦術的な」投資に対する訴訟を取り上げ、「ビットコインを含む暗号通貨は資産クラスとして不適切だ」と述べた。

しかしながら、暗号通貨についての基礎的な理解の欠如が、ゴールドマンサックスの暗号通貨に対する信頼性を妨げている可能性がある。投資戦略グループは銀行におけるウェルスマネジメント部門であり、主に富裕層の顧客をターゲットとしている。意見とクライアントへの助言は尊重するが、ビットコインに関するコメントは論理的に一貫性がない。

彼らは、暗号通貨はキャッシュフローや収益を生まず、インフレヘッジの証拠も示されていないため、資産クラスとして認めないと断言した。これらの推論に続いて、世間に広く認められている資産クラスであるゴールドまでもが矢面に立たされた。ゴールドマンサックスは、ゴールドでさえインフレヘッジの証拠を示していないと考えている。

出典: Goldman Sachs Investment Strategy Group

出典: Goldman Sachs Investment Strategy Group

また、暗号通貨は極めてボラティリティが高く、収益はただのバブルにすぎないとも述べた。しかしながら彼らは、アマゾンを連想させる、ビットコインの比類のないシャープレシオやソルティノレシオについて語ることを避けている。一般的に投資家は、収益の分析を伴わずボラティリティを単独で考慮することはない。

「個々の暗号通貨は供給量に限りがあるが、暗号通貨全体では希少資源でとは言えない」。ゴールドマンサックスは、ビットコインキャッシュとビットコインSVについて、ビットコインとほぼ同じのクローンであると主張した。ゴールドマンサックスは、プルーフオブワークに基づく暗号通貨に対するハッシュパワーの重要性に露骨に気づかないふりをしている。BCHとBSVのアカウントのハッシュパワーの合計はBTCアカウントのハッシュパワーのわずか4~5%であり、それらのネットワークは敵対的な攻撃に対しBTCよりもはるかに脆弱であることを示している。BCHとBSVはBTCのクローンとして比較するには及ばず、ビットコインの希少性を否定することはできない。

出典: Bitinfocharts (https://bitinfocharts.com/comparison/hashrate-btc-bch-bsv.html#6m)

ゴールドマンサックスはまた、ビットコインがマネーロンダリングやダークネットマーケット等の「不法行為の手段」となっていると非難した。Chainalysis によれば、2019年に280億ドルのビットコインが犯罪組織から両替所へ送られ、また 別のデータ では、通常は暗号通貨を通じて両替されるダークネットマーケットの同年の収益が、800億ドルに達したとしている。

しかしながら、ビットコインに関する不法行為は全体から見れば非常に低い割合を占める。 世界経済評議会 は、「不法取引を国に例えると、その経済はブラジル、イタリア、カナダより大きく、メキシコとインドネシアを合わせたよりも大きい」と述べている。

ブロックチェーンに縁のない人々は、暗号資産を通じて犯罪活動を行うことが容易であると信じる傾向があるが、それは誤解である。実際には、現金の流れを追跡することは、暗号資産の流れを追跡するよりもよほど難しい。ブロックチェーンの元帳は公開され透明であり、Chainalysisのようなブロックチェーンの分析会社が、IRS、FBI、DEA等の法執行機関と緊密に連携している。

ビットコインやその他のアルトコインにリスクと不確定性が伴うなら、なぜ世界中で、ポール・チューダー・ジョーンズ氏のようなベテラン投資家でさえも、お金と時間を暗号通貨につぎ込むのだろうか?資産の価値が実質的かつ持続的に上昇するならば、早まった結論に飛びつくよりも、その背後にある理論的根拠を学ぶ方が賢明だ。

ビットコインはまだデジタルゴールドにはなっていないかもしれないが、そうなりつつあるかもしれない。結局のところ、時が経てば分かるのだ。