デジタル資産業界向けバンキングサービス

重要ポイント

  • 米シルバーゲート銀行、預金の85%がデジタル資産業界から
  • デジタル通貨分野からの預金は無利息のため、資金コストがごくわずか
  • シルバーゲートはクロス通貨トランザクションを行うSilver Exchange Networkを設立し、ビットコインを担保とする米ドル建てローンを提供
  • ますます多くの銀行が後に続き、デジタル通貨産業界への進出を視野に入れる

暗号資産市場ブームの分け前を手に入れるための競争は、実際に行われている。決済プラットフォームが暗号資産産業への高い関心を示す一方で、デジタル通貨と長きにわたり比較的冷ややかな関係を保ってきた市中銀行も、暗号関連ビジネスへと事業を拡張している。

米カリフォルニア衆に拠点を置くシルバーゲート銀行は、2013年にデジタル通貨サービスを開始。当初は、デジタル通貨取引所、機関投資家、ブロックチェーン関連プロジェクト、マイナー等を含む、デジタル通貨企業へのバンキングサービスを提供した。同行は2019年11月にニューヨーク証券取引所に上場し、デジタル通貨ビジネスを取り扱う数少ない米国の銀行となった。

現在では、シルバーゲート銀行はデジタル通貨業界の数々の有名企業へサービスを提供しており、Coinbase、Bitstamp、Genesis Trading、Polychain Capital、Paxos、Circle等が例に挙げられる。2020年3月31日の時点で、同行は850のデジタル通貨関連の顧客を有し、その内訳はデジタル通貨取引所が61、機関投資家が541、そして残りの248は、ブロックチェーンプロジェクト、マイナー、ステーブルコイン、その他のデジタル通貨サービス会社である。米国で発行された有名なステーブルコインの大部分が、同行と提携している。リブラもこれに加わるか否かは、今のところ不明だ。

シルバーゲート銀行は、デジタル通貨コミュニティによりよいサービスを提供するために、自社の決済ネットワーク「Silver Exchange Network(SEN)」を開発。法人顧客がデジタル通貨取引所間で米ドルを即座に動かせるようにすることで、資金効率を高め、さまざまなアセットクラスを24時間365日いつでも取引できる機会を提供した。顧客間の取引が行われる間、預金は同行のシステム内に留保される。

2020年第1四半期のSENのトランザクションは3万1千件、総額は174億ドルだった。

2020年3月31日の時点で、デジタル通貨の預金は預金全体の85%に達した。2020年第1四半期の同行のデジタル通貨取引からの預金の平均残高は、2019年と比べほとんど変化していない。しかしながら、3月中旬の非常に激しい市場変動に促された現金の需要急増のおかげで、機関投資家からの預金は2020年第1四半期に36%と著しく増加した。

ほとんどの金融機関が踏み出そうとしない領域に、シルバーゲート銀行を挑ませたのは何か?同行のデジタル通貨業界からの預金は無利子のため、銀行の資金コストを著しく低減できる。それは実質的に無償の資金であり、銀行は利ざやで簡単に儲けることができる。

さらにシルバーゲート銀行は2020年第1四半期に、ビットコインを担保とする米ドル建て融資の新商品、「SENレバレッジローン」をリリースした。SENのレバレッジは、ビットコイン信用取引による融資を特徴とし、これにより同行の顧客は、提携先のデジタル通貨取引所で保管しているビットコインを担保に米ドルを借りることができる。同行は2020年第1四半期に1250万ドルのビットコイン担保ローンを承認し、これは成長の重要な原動力になると信じられている。

デジタル通貨の顧客からの手数料収入は、2018年第4四半期には70万ドルだったが、2020年第1四半期には170万ドルまで増加し、同行の利子収入総額の8.5%を占めた。デジタル通貨の顧客による取引行為の急増は、シルバーゲート銀行の現金管理ソリューション、外国為替サービス、預金ソリューションの需要の高まりに起因すると考えられる。

しかしながら預金のコストは、競争の高まりにより、2018年第4四半期の0.08%から2020年第1四半期には0.87%に上昇した。他の市中銀行が参入に興味を示し、より有利な利率を提示したためである。同じくデジタル通貨に好意的なニューヨークのメトロポリタン商業銀行は、2019年の年間で預金が半減し、プレッシャーをいち早く感じることになった。同様に、2020年第1四半期のシルバーゲート銀行の平均通貨預金は2019年と比べ伸びていない一方で、有利子の預金によるコストが大幅に増えた。

シルバーゲート銀行、シグネチャーバンク、メトロポリタン商業銀行、クロスリバー銀行は、デジタル通貨コミュニティにその名を連ねた。そして、ますます多くの銀行が後に続こうとしている。メインストリームの金融機関の専門知識とインフラをてこに、デジタル通貨業界は成長し続ける。