コインベースの上場は暗号資産業界にとって強力な後押しに

重要ポイント

  • 世界最大級のデジタル通貨取引所のコインベース(Coinbase)が、従来のIPOではなく取引所への直接上場による株式上場か
  • 取引所の最近の評価は80億ドルで2012年の400倍に増加、PER(株価収益率)は約49倍、PSR(株価売上高倍率)は14.7倍
  • 2019年の収益は5億4300万ドル、利益は1億6300万ドルとの予想
  • 上場により業界における真のゲームチェンジャーであることが証明される

ロイターによると、コインベースは今年後半か来年に、従来のIPOではなく直接上場することを計画している。

このデジタル通貨取引所は3500万以上のユーザーを誇り、70億ドル以上を保管しており、2012年の設立以来2200億ドルの取引を扱ってきた。もっと最近では、コインベースは2018年第4四半期に保管システムをアップグレードし、顧客の850,000 BTCを新たなアドレスへ移した。現在の価値(1 BTC≒9200ドル)に基づき、顧客の資産は約79億ドルと推算される。

その華々しい急上昇と加速を続ける成長にも関わらず、コインベースは設立当初からさまざまな困難を乗り越えなければならなかった。Bloombergの調査資料によれば、コインベースは2017年に9億2300万ドルの収益と3億8000万ドルの利益を上げ、2016年の1700万ドルの収益から大きな飛躍を遂げた。このアグレッシブな予測は誇張されたもので、(少なくともその一部は)シリーズEの資金調達で株式評価を80億ドル以上に膨らませるための策略であった可能性があり、その期待は弱気の下落によって削がれた。

出典: Bloomberg

楽観的なムードにも関わらず、ブロックチェーンデータ分析会社のBQ Intelは2020年1月に発表した季刊分析レポートの中で、より控えめな予想を明らかにした。マーケットインテリジェンスエージェンシーである同社は、コインベースの2018年の収益が5億2900万ドル、利益が1億5900万ドルであり、2019年にはそれぞれ5億4300万ドル1億6300万ドルに増加しており、計算すると純利益率は30%で、主な規制対象と同程度であると主張した。

出典: BQ Intel 


上のグラフを見ると、2018年のコインベースの収益は前年と比べ著しく減少し、それはBTCの価値の低下と顧客基盤の縮小によるものであった。このことは、アーリーステージのベンチャーキャピタル会社Tribe Capitalが収集した、コインベースの米国での月別アクティブユーザー総数が2017年12月から2018年9月までの間に約80%減少したことを示すデータにより裏付けられている。

コインベースは2019年にやっと安定を見せ始めた。bitcoinityから入手したデータによると、出来高はドル建てで横ばい、BTC建てで3%減少した。

出典: BQ Intel 

コインベースは9つの戦略投資ラウンドで、なんとか5億4730万ドルを調達。その出資リストには、Andreessen Horowitz、三菱UFJキャピタル、ニューヨーク証券取引所(NYSE)、Institutional Venture Partners(IVP)等の大口投資家を含む、信頼できる投資家の名前が並んだ。

出典: Crunchbase

コインベースの最近のシリーズE資金調達は2018年10月に行われ、Tiger Global Managementがリードインベスターとなった。米国のヘッジファンドが新興のデジタル通貨取引プラットフォームに3億ドルを投資し、企業評価額は80億ドルに達して、2012年の当初評価額の400倍となった。

ROUNDPERCENTAGE
ROUND A29%
ROUND B18%
ROUND C16%
ROUND C+2%
ROUND D6%
ROUND E4%

出典: Coinbase、Bybit Insight

上の表は、一連の融資全体における資金の割合をまとめたものである。シリーズEの評価は2019年の見積利益の49倍、予測された同年の収益見通しの14.7倍だった。驚異的に感じるかもしれないが、これらの数字は米国の株式市場の状況を如実に反映するものであり、成長著しい企業にとって100倍のPSR(株価売上高倍率)は特に珍しくはない。

いくつかの注目を集めた投資案件が失敗に終わったことが大々的に報じられたことで、投資家の精査の強化により行動がわずかに変化してはいるものの、現在の市場のセンチメントが主張し続けるように、コインベースが上場するための最適な時期であることを証明する可能性がある。IPOで資金を集めないという決断は、既存の株主だけが株を売る権利を有することを意味し、それによって上場評価目標に合致しない取引での追加の売り圧力が緩和される。

出典: Coinbase、Bybit Insight

コインベースの上場が成功した場合、暗号資産業界全体にとってプラスの要因となる可能性が高い。BTCやETH、その他の暗号通貨の価格上昇がますます増加するだけでなく、取引所の直接上場の可能性は業界の「信頼性」をさらに高め、その結果として導入の障壁をなくしメインストリームによる幅広い受容を促す。

コインベースは現在、米国の連邦レベルでマネーサービス事業を運営しており、展開するすべての州でライセンスを取得している。さらに、最新の規定に適合しそれらを遵守するために多額の投資を行ったことで、直接上場の潜在的な障害を取り除き、その作業をよりスムーズで魅力的なものにした。

残された唯一の疑問は、SEC(米国証券取引委員会)がいかにしてコインベースのプラットフォームにおけるアルトコインの取引に気づくかである。SECは以前、BTCは有価証券ではなく、規制の範囲外であるとの論争を巻き起こした。しかしながら、一部のアルトコインは有価証券としてカテゴライズすることができ、SECはこれまでにアルトコインを「詐欺や操作」を行うものであるとみなした。それは分類と区分の面で、物事をより複雑にしている。

これは複雑な問題をはらんでいる可能性があり、私たちは状況をより的確に評価し解決方法を探るため、最新の動向に注目していくつもりである。